季節のしきたりと日本の心

水無月(みなづき・六月)

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梅雨

五月上旬から七月下旬。
江戸時代に五月雨とも呼ばれていた梅雨は、中国から伝わってきた言葉です。
日本で「つゆ」と読むのは、「露」からの連想とされる説と、梅の実が「つはる(熟す)」ところからきているという説があります。
また、梅雨は、カビの生えやすい時期でもあることから、梅の「ばい」と黴菌の「ばい」をかけて、「ばいう(黴雨)」とも呼ばれています。
雨が続くこの季節は、外出も億劫になり、気が重くなりがちですが、雨音に耳を澄ましたり、雨にぬれた紫陽花の葉裏にカタツムリを見付けたり、カエルの鳴き声に耳を傾けたりと、梅雨さえも楽しんだ子供の頃に戻ってみるのも良いものでは?
農家最大の作業、田植えが始まるのも梅雨の頃。
機械化された今ではあまり見る事はありませんが、昔は、紺絣(こんがすり)に赤い帯、新しい菅笠(すげがさ)をかぶって、歌を歌いながら互いに助け合って田植えを進めました。
稲にとっても私たちにとっても大切な雨、生きとし生けるものへ注がれる恵みに、感謝しましょう。

衣替え

六月一日。
衣替えは、「更衣」とも書きます。
平安時代の宮中では、旧暦の四月一日と十月一日を更衣の日として、四月には夏装束へ、十月 には冬装束へと改めていました。
現在でも、和服は、六月から裏地のついていない単衣絽紗に、十月からは裏地のついた袷に替わります。
この機会に、服装だけでなく、自然や天候の移り変わりに目を向けてみてはいかがでしょうか?

時の記念日

六月十日。
大正九年、日本人も欧米並みの時間感覚を持つことを目的に、「時間を守り、大切にして、合理的な生活を送る」ことを趣旨として、生活改善同盟会によって制定されました。
日本の時計の始まりは天智十年の四月二十五日(現代の六月十日)。
漏刻(水時計)が使われ、人々に時報が知らされたと日本書紀に記されています。
現在の日本では、一日を二十四等分して、数字で時刻を表す新暦を使用していますが、その昔は、不定時法を使っていました。
不定時法とは、昼と夜の長さをそれぞれ六等分する時刻法で、日の出から日の入りの長さが季節によって違うため、新暦と違って、一時の長さがその時々で変化してしまいます。
私たちが生活するうえで時間はとても大切なもの。
「時」に関心を持ち、有効に生かして使いたいものです。

夏越の祓え

六月三十日。
百官万民の犯した一切の罪けがれを除き去るための神事です。
太古、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が不浄に触れられたときに、海で禊(みそぎ)をされた故事に始まって以来、代々の宮中において、日常生活において知らず知らずのうちに犯している罪やけがれを祓い清めるものとして、半年毎にこれを行うようになり、江戸時代から庶民に広まりました。
六月三十日の大祓えを「夏越の祓え」、十二月三十一日の大祓えを「年越の祓え」と言います。
心を神からいただいた美しいものに返そうとした日本人の思いが現代に伝わったものです。
茅の輪くぐり
茅(かや)は、硬い地表を破って芽を出します。
この鋭い茅に神の力を感じ、その力を借りて自らの罪けがれを浄化してもらおうと、この輪をくぐり、心を改めたのが茅の輪くぐりです。
また、善行をした蘇民将来(そみんしょうらい)が素盞鳴尊(すさのおのみこと)から「もしも疫病が流行したら、茅の輪を腰につけると免れる」と教えられ、その通りにした所、疫病から免れることができたという「備後風土記逸文」の逸話が起源とされています。
和歌を唱え、身体を祓い、左右左と8の字を描くようにくぐるのが正式です。
室町時代の書物「公事根源」に伝わる、輪をくぐるときに唱える和歌。
「水無月の 夏越の祓 する人は ちとせの命 のぶといふなり」

今日は何の日?

一日 チューインガムの日
三日 ムーミンの日
六日 楽器の日
    「ドナルドダック」デビューの日
十日 ミルクキャラメルの日
十一日 傘の日
十二日 恋人の日
十三日 「小さな親切運動」スタートの日
十六日 和菓子の日
十九日 ベースボール記念日
二十一日頃(夏至) 冷蔵庫の日
二十二日 ボウリングの日
二十四日 空飛ぶ円盤記念日
         ドレミの日
二十六日 露天風呂の日
二十九日 ビートルズ記念日

六月の花

菖蒲・紫陽花・花菖蒲・柘榴(ざくろ)・山梔子(くちなし)・桔梗・ラベンダー

六月の野菜

玉葱・馬鈴薯(ばれいしょ)・空豆・隠元豆・茄子・蕨(わらび)・トマト

六月の魚介

鰹・鯵・鮪・飛魚・鱧(はも)・穴子・浅利・鰆(さわら)

六月の果実

杏・枇杷(びわ)・サクランボ・梅・メロン

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